2016年11月の記事 (1/1)

急激な為替変動に対するライフヘッジを考える

米大統領選挙でトランプ候補が勝利して以降、猛烈な勢いで円安が進んでいます。

この勢いは2012年秋の衆議院総選挙で自民党が政権を取り返して以降(正確にはその少し前)、急速に円安が進んだ状況に似てると思います。その後円安は最大で125円(2015年6月)まで到達しましたが、果たして今回はどうなるでしょうか?

また、今回の為替変動は円だけを見ると確かに円安なのですが、対ユーロでもドルが高くなっているので、現象としては「ドル高」です。果たして本当にトランプが言うように、“偉大なアメリカ”が帰ってくるのか、それは誰にもわかりません。

1つだけ言えることは「通貨や株式の値段は人々の期待値によって決まる」ということでしょう。人々が過度な期待から現実へ目を覚ましたとき、果たしてどうなるか。。。

一般的には、今後の日本円の動きについて以下のシナリオが考えられると思います。

1)短期的には、トランプによる国内偏重の経済政策と金利政策(日米金利差)により円安
2)長期的には、潜在需要の低い日本はデフレを脱却出来ず、購買力平価に基づき円高
3)超長期的には、日本の債務超過(財務破綻)→ハイパーインプレにより円安

要するに、どのタイミングでどちらに振れるか判らないのです(笑)。
1つだけ判っているのは、為替変動は誰にも予想出来ない」という事実だけです。これをしっかり肝に銘じておきたいです。

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では、「為替は予想出来ない」を前提に、個人としてどのような行動をとるのが合理的でしょうか。

私自身は、思いがけず外貨資産に軸足を置いているので(過去エントリー→「外貨資産比率を把握する」)、円安は“円ベース”での資産が増えることになり、一見都合の良いことのように思えます。
ところが今は台湾で生活しているので、生活拠点の通貨である台湾ドルベースでは、所有する円資産の分だけ“資産が目減りした”ことになります。

為替変動はゼロサム(一方の通貨価値が上がれば他方は下がる)ですから、資産価値は、あなたが今どの国で生活するか、今後何処の国で生活していくか、に大きく依存します。何事もものごとは2面性を持っているということですね。

そこで私が考える、個人レベルで出来る為替ヘッジとライフヘッジは次のとおりです。

1)所有する資産の通貨割合を分散させること。
2)何処の国でも生きていけるような能力を身につけること。
3)何処の国でも稼げる(外貨を獲得できる)能力を身につけること。

1)は海外株式や外貨を持つことですぐ出来ますし、2)も、ある程度移動の自由度があれば、短期(数年単位)での海外滞在は可能でしょう。いま流行りの「外こもり」は、為替変動をヘッジ出来るひとつの有効な手段だと思います。

3)は一気にハードルが高くなりますが、それでも若い人にはどんどん外国での労働にチャレンジして欲しいです。また、今はインターネットを使って、日本を離れなくても外貨を獲得出来る機会が沢山あるでしょう。

私自身、今は仕事の都合で住む場所が制限されていますが、将来、ファイナンシャル・フリーダムを達成したときには、可能なかぎり為替をヘッジ出来るようなライフスタイルを模索していきたいと思います。

(おわり)

↓佐々木融氏の本は為替変動の仕組みについて非常に良く理解出来るのでお勧めです。

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強烈な比較体験だけがマインドセットを壊す(年金・医療費の制度変更を考える)

今週、年金と医療費制度に関して、注目されるニュースがそれぞれ流れました。

「年金受給資格、納付10年に短縮 改正法成立(日本経済新聞)」
「年収370万円以上の高齢者、医療費負担を引き上げへ 軽減特例も廃止(ハフィントンポスト)」

どちらのニュースも(特に後者)、「もう公的な年金と医療費の財政悪化は待ったなし、どんどん聖域に切り込んでいきますよ。そうしないと破綻は目の前ですよ。」という政府からの明確なメッセージだと思います。

個人的にはこのような動きに大賛成ですね。1年でも長く、今の(比較的良好な)両制度が継続する為に、どんどん進めていって貰いたいです(セーフティネットは必要ですが)。

こういう意見を言うと、「その前に国や地方の無駄遣いを減らすのが先だろ」という人も多いですが、国家が「税徴収→再分配」の制度をとる限り、その過程で無駄や非効率性はいつまでたってもなくなりません。もちろん無駄遣いは監視してできるだけ減らす努力をするべきですが、実効ベースではどんどん再分配の削減を進めていかないと間にあいません。最終的に痛い目をみるのはあなた自身です。

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ところで、公的年金・医療費を考える毎に、どうしても頭から離れられないのが「マインドセット」という呪縛です。

マインドセット=Mind Set、日本人にはなじみが薄い言葉ですが、英語圏では本当に良く出てきます。直訳すると「固定概念」、または「既成概念」でしょうか?もうすこし丁寧に説明すると、「個々人の国家環境や生活・家庭環境で、あらかじめこれはこういうものである、という固定・既成概念が作られるため、それを超える発想や意見が考えられない・受け容れられない」という言葉です。

日本人の公的年金や医療費制度に関しても、日本の現行制度をベースに、それぞれこういうものである、こうあるべきである、というマインドセットが日本人の頭にはプリセットされています。例えば・・・

・年金は退職年齢で貰えて当たり前である。
・医療は国民全員が平等に受けられるものである。
・老齢者の医療費負担は軽くて当然である。
などなど。

情報化時代が始まって久しいので、社会保障に対して、世界の中でも日本が非常に恵まれている、というのは知っているはずですが、実生活に深く刷り込まれた“当たり前”のマインドセットを外すのは非常に難しいです。
そこで、この“マインドセットの頭輪”外すには、(いつもの主張で申し訳ないですが)強烈な異国体験をするのがてっとりばやいのです。例えば・・・

・アメリカで虫歯1本治療するだけで$800払うとか(→関連エントリー「日本の医療保険制度を当たり前と思わない」
・ヨーロッパ旅行でVAT(付加価値税)の高さに驚愕し、あぁこの福祉制度を支えるにはこれだけ税金が必要なんだ、とか、
・ほぼ日本と同じ医療費制度を持つ台湾で、風邪の診療だけで3時間以上待たされるとか(システムが同じなら抱える問題もほぼ同じ)。
などなど。

日本人が嵌められたマインドセットを外すには、日本以外の国での強烈な比較実体験をするしかないのです。

私はだいぶ年を食ってしまったんで、おそらく個人的な異文化実験はここまでですが(欧州の一福祉国家での生活体験を渇望しましたが、もうチャンスはなさそう)、若い人には留学でも仕事でも、どんどん海外に出て行って欲しいです。

そして、強烈な日本との違いを体感してからそれを持ち帰り、少しでも日本が良い方向に進むように、廻りに影響を与えて欲しいのです。それが例え小さなコミュニティでもかまいません。。。小さな変化が、いつか大きなうねりを生むと信じています。

(おわり)

(↓)堤未果氏の著書は少々強調バイアスがかかってますが、ミクロな視点では問題を鋭く指摘しておりお勧めです。

資産が増えるほど人的資本の大きさを痛感する

投資メインのブログと自負していながら、ひさびさの投資に関するエントリーです。

少し前になりますが、10月初旬に2016年の投資活動を終了しました。
※毎月自動積み立ての個人型確定拠出年金を除く。
→関連エントリー「海外転出時のNISA、確定拠出年金の継続条件を整理する」

現在の投資スタイルは、余剰資金から一定金額を年4回に分けて(1月、4月、7月、10月)、インタラクティブブローカーズ証券でNYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場するETFを購入する、というものです。

購入しているETFSPYVEAVWOの3種類で、
購入比率は米ヴァンガード社の全世界株式ETFであるVTの比率、

米国株式(SPY):55.9%
米国を除く先進国株式(VEA):35.0%
新興国株式(VWO):9.1%

をベンチマーク(2016/9/30時点)にしています。
→関連エントリー「株式ポートフォリオをVTライクにする」

今、アメリカ大統領選挙で、予想外のトランプ氏勝利により、市場のボラティリティが高まっています。
このタイミングで上記のETFを安値で拾える可能性もありますが、次回の購入タイミングは1月なのでそれまで我慢です。まぁその頃にはきっと市場も落ち着いているでしょう。

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ところで、私が投資を始めたのはリーマンショック前の2008年頃なのですが、開始直後の大幅下落から長い回復期を経て、現在は徐々に資産も増えてきました。といってもリターンはおそらく年率5~6%といったところです。ちゃんと計算してませんが(汗)。

しかし、すごく当たり前のことですが、多少資産が増えたからといって、「投資リターンだけで暮していく」ことは全く現実的でないことが判ります。

橘玲氏の本によく出てくるように、個人の稼ぎ(年収と言ってもよい)は一般に、
人的資本(から稼ぎ出すお金)+金融資本×利率
で決まります。

例えば、年収600万を稼ぐサラリーマンがいたとします。仮にこれを、金融資本のリターンだけで稼ごうとすると、
金融資本)A X (利率=5%と仮定)0.05 = (人的資本)6,000,000
という簡単な式から、必要な金融資本Aは1億2000万となります。

ハイ、そんな大金を貯めるのは不可能です。。。

実際には、将来の年金収入(私は当てにしてませんが)や、金融資産の“切り崩し”を年頭に、死亡年齢で金融資産ゼロとなるようにシミュレーションすれば、50代や60代なら現実解は見えてくるのでしょう。

でも、まだまだ先行き不透明な30代や40代であるならば、この簡単な計算から、
圧倒的な人的資本の大きさを痛感するわけです。

何が言いたいかというと、世の中の一般的な稼ぎしかない人(=当然私も含まれます)は、より効率の良い投資方法に頭を悩ませるより、まずはその人的資本を生かして働きなさい、または人的資本を増やすような努力をしなさい、という(良く出来た投資本や投資ブログには必ず書いてある)ことになります。

何とも面白くない結論ですが、同時に“圧倒的な事実”でもあります。
この“圧倒的な事実”をモチベーションに、これからも日々の仕事に向き合っていきたいと思います。

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