強烈な比較体験だけがマインドセットを壊す(年金・医療費の制度変更を考える)

今週、年金と医療費制度に関して、注目されるニュースがそれぞれ流れました。

「年金受給資格、納付10年に短縮 改正法成立(日本経済新聞)」
「年収370万円以上の高齢者、医療費負担を引き上げへ 軽減特例も廃止(ハフィントンポスト)」

どちらのニュースも(特に後者)、「もう公的な年金と医療費の財政悪化は待ったなし、どんどん聖域に切り込んでいきますよ。そうしないと破綻は目の前ですよ。」という政府からの明確なメッセージだと思います。

個人的にはこのような動きに大賛成ですね。1年でも長く、今の(比較的良好な)両制度が継続する為に、どんどん進めていって貰いたいです(セーフティネットは必要ですが)。

こういう意見を言うと、「その前に国や地方の無駄遣いを減らすのが先だろ」という人も多いですが、国家が「税徴収→再分配」の制度をとる限り、その過程で無駄や非効率性はいつまでたってもなくなりません。もちろん無駄遣いは監視してできるだけ減らす努力をするべきですが、実効ベースではどんどん再分配の削減を進めていかないと間にあいません。最終的に痛い目をみるのはあなた自身です。

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ところで、公的年金・医療費を考える毎に、どうしても頭から離れられないのが「マインドセット」という呪縛です。

マインドセット=Mind Set、日本人にはなじみが薄い言葉ですが、英語圏では本当に良く出てきます。直訳すると「固定概念」、または「既成概念」でしょうか?もうすこし丁寧に説明すると、「個々人の国家環境や生活・家庭環境で、あらかじめこれはこういうものである、という固定・既成概念が作られるため、それを超える発想や意見が考えられない・受け容れられない」という言葉です。

日本人の公的年金や医療費制度に関しても、日本の現行制度をベースに、それぞれこういうものである、こうあるべきである、というマインドセットが日本人の頭にはプリセットされています。例えば・・・

・年金は退職年齢で貰えて当たり前である。
・医療は国民全員が平等に受けられるものである。
・老齢者の医療費負担は軽くて当然である。
などなど。

情報化時代が始まって久しいので、社会保障に対して、世界の中でも日本が非常に恵まれている、というのは知っているはずですが、実生活に深く刷り込まれた“当たり前”のマインドセットを外すのは非常に難しいです。
そこで、この“マインドセットの頭輪”外すには、(いつもの主張で申し訳ないですが)強烈な異国体験をするのがてっとりばやいのです。例えば・・・

・アメリカで虫歯1本治療するだけで$800払うとか(→関連エントリー「日本の医療保険制度を当たり前と思わない」
・ヨーロッパ旅行でVAT(付加価値税)の高さに驚愕し、あぁこの福祉制度を支えるにはこれだけ税金が必要なんだ、とか、
・ほぼ日本と同じ医療費制度を持つ台湾で、風邪の診療だけで3時間以上待たされるとか(システムが同じなら抱える問題もほぼ同じ)。
などなど。

日本人が嵌められたマインドセットを外すには、日本以外の国での強烈な比較実体験をするしかないのです。

私はだいぶ年を食ってしまったんで、おそらく個人的な異文化実験はここまでですが(欧州の一福祉国家での生活体験を渇望しましたが、もうチャンスはなさそう)、若い人には留学でも仕事でも、どんどん海外に出て行って欲しいです。

そして、強烈な日本との違いを体感してからそれを持ち帰り、少しでも日本が良い方向に進むように、廻りに影響を与えて欲しいのです。それが例え小さなコミュニティでもかまいません。。。小さな変化が、いつか大きなうねりを生むと信じています。

(おわり)

(↓)堤未果氏の著書は少々強調バイアスがかかってますが、ミクロな視点では問題を鋭く指摘しておりお勧めです。

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